こんにちは、院長の中屋(当時)です。
本日は膝の痛みについて。

膝関節の痛みや変形の原因は、外傷・炎症症状や軟骨の摩耗によるものなど様々です。
若年層では半月板損傷や靱帯損傷が多く、また30代~高齢者の方には変形性関節症や関節リウマチなどを発症しやすいと言われています。
改善方法では、運動療法などを中心としたリハビリテーションが主に行われますが、症状のレベルによっては患部の手術が必要な場合もあります。

 ★膝の症状

・転倒やスポーツなどで膝の前面を強打して、関節が腫れたり膝の裏に痛みが生じる。

・競技中に膝を捻ったことにより、膝の内側に強い痛みが生じたり、腫れたり、膝がガクガク不安定になる。

・歩行中、立ち上がる動作時、階段の上りや下りで痛い。

・膝を曲げ伸ばしした際に音が鳴る、歩いている時に膝が「ガクッ」と崩れる。

・競技中に「ブチッ」とした異音(断裂音)を感じたり、膝が外れた感じがしたり、激しい痛みを伴ったり、徐々に膝が腫れて曲げにくくなったりする。

代表的な疾患

変形性膝関節症

《概要》変形性関節症とは関節を構成する組織に退行性変化と増殖性変化が起こる疾患です。変形性膝関節症の罹患率は股関節や足関節など他の関節に比べて高く、主に肥満(体重増加)や筋力低下による関節軟骨への負荷(物理的ストレス)が原因となります。

《主な症状》膝の痛み(特に膝の内側が多い)、膝がO脚またはX脚になる、膝が完全に曲げ伸ばし出来ない、関節に水が溜まる(水腫)

 《診断》確定診断では、レントゲン、MRIが使用されます。

 《治療方法》

①保存療法

変形性膝関節症の治療では、第一に保存療法が選択されます。
保存療法を行うに際して、日常生活指導を基に、理学療法、装具療法、その他柔整では手技療法(アライメント調整含む)、(整形外科等医療機関)では薬物の処方などを行います。

◆日常生活指導

生活様式(ライフスタイル)を和式スタイルから洋式スタイルへ移行させる。身近なものでは、正座から椅子の座位へ、和式から洋式トイレの使用

◆薬物療法(整形外科等医療機関)

湿布の処方、ヒアルロン酸製剤の関節内注射などを行ないます。

◆理学療法

運動療法(特に大腿四頭筋の筋力強化)、痛みが出現している部位への温熱療法などを行ないます。

◆装具療法

膝用サポーター、足底板の作成

②手術療法(整形外科等医療機関)

手術療法は、保存療法の結果を踏まえ、日常生活動作の障害の程度、全身状態などを考慮して選択されます。オペは主に「人工関節全置換術」が多く選択されます。

 半月板損傷

《概要》半月板損傷は膝関節の屈伸と回旋運動が協調しない時に発生します。
原因はスポーツ外傷によるものが多く、その他では転倒、交通事故、捻挫等によります。

《主な症状》

轢音・・・(関節屈伸時に鈍い音が聞こえる等)

キャッチング・・・(運動時に関節に何か挟まる感じがする現象)

弾発現象・・・(関節屈伸時に滑らかさが失われ、弾けるような動きになる等)

ロッキング・・・(膝を屈伸した際に損傷した半月板の一部が挟まり、完全に伸ばせなくなる現象)

膝崩れ・・・ (歩行中に膝の裏を押されたかのように「ガクッ」と膝が崩れる現象)

 《診断》徒手検査、MRI

《治療方法》

①保存療法

半月板は軟骨にかかるストレスを軽減する重要な役割があるため、出来るだけ残すことが重要です。
実際の治療としては運動療法、膝サポーター、足底板、ヒアルロン酸の関節内注射(整形外科等医療機関)があります。

 ②手術療法(整形外科等医療機関)

関節鏡を用いての半月切除術・修復術等の外科的手術が一般的です。
スポーツ活動への復帰は、半月切除で2~3ヵ月、縫合術では4~6ヵ月のリハビリを必要とします。

 前十字靱帯損傷

《概要》ジャンプの着地、急激な方向転換、急停止など非接触時に起こり、タックルを受けて膝の外反が強制される等、接触時に起こることもあります。
 《主な症状》受傷直後は著明な関節血腫に起因する関節痛が生じ、関節腫脹、運動障害や歩行障害も認めます。陳旧例では、関節の不安定性を訴え来院されることが多いです。

 《診断》徒手テスト、MRI

《治療方法》

膝関節へ負荷をどの程度かけるかにより治療方法が決定されます。

 ①保存療法

スポーツ愛好家でない場合は、大腿四頭筋やハムストリングスの筋力強化を徹底することにより手術を回避します。体育参加など膝のへの負荷を要求される時は、膝装具着用やテーピングの適応となります。

 ②手術療法(整形外科等医療機関)

積極的なスポーツ参加者や、日常生活動作が障害される場合に適応となります。
手術の場合は靭帯の再建術を行い、プログラムに沿ったリハビリを行っていきます。

 後十字靱帯損傷

《概要》スポーツや交通事故で脛骨前面を強打することによる発生がほとんどで、前十字靱帯損傷のように多様な受傷機転とは異なります。

 《主な症状》軽度の関節腫脹、膝窩部(膝の裏)の痛みを認めます。関節の不安定性を訴えることはありません。関節の不安定性を訴える場合は、他の損傷の合併を疑います。

 《診断》徒手テスト、MRI

 《治療方法》

①保存療法

ハムストリングスや大腿四頭筋の働きで安定性が確保されるので、まずは保存療法が第一選択となります。

 ②手術療法(整形外科等医療機関)

他の靭帯損傷が複合して生じている場合は、手術療法が適応となります。

 内側側副靱帯損傷

《概要》ラグビーやサッカー、バスケットボールなどのコンタクトスポーツで、膝の外側から内側への外力(タックル)により、関節に外反、または外旋力が強制されたときに、靭帯が過緊張して最終的に断裂します。スキーでの転倒時、ジャンプ着地時、ツイスト時でも発生します。

 《主な症状》膝の内側に一致した圧痛、腫脹、熱感、荷重すると外反動揺性(X脚のような)が認められます。受傷直後は関節血腫が、慢性化すると水種が存在します。

 《診断》徒手テスト、MRI

 《治療方法》

内側側副靱帯損傷はⅠ度~Ⅲ度に分類され、その程度により保存療法か手術療法が選択されます。

 ①保存療法

外用薬(湿布、塗布剤)、超音波、低周波などの物理療法により痛みの対策を行います。

回復の程度を見て大腿四頭筋やハムストリングの筋力強化を行っていきます。

 ②手術療法(整形外科等医療機関)

他の靭帯損傷などが合併している場合は、手術療法が適応となります。

★上記で解説した保存療法の一部範囲は、まごころ鍼灸整骨院でも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。