8月も終盤になり、暑さが本格的になってきましたね。
暑い日は冷房の前で扇風機にかじりついて体を冷やしている、どうも三ッ沢下町院です。
体を冷やすと言えばよく聞かれることにこんなことがあります。
「痛い時は温めた方が良いの?冷やした方が良いの?」
そこで今日は痛い部位を冷やす・温める事についてお話します。
そもそも冷やした時・温めた時、体はどうなるか。
どちらが正しいのかを考える前に冷やした際、温めた際、体の中ではどんなことが起こるのかを先にお話します。これを知っておくことでなぜ冷やすのか、なぜ温めるのかが分かりやすくなると思います。
冷やす
冷やすことは応急処置の際「アイシング」と呼ばれます。
応急処置のRICE処置の「I」ですね。
急性期の症状にはよく行われます。
血管
冷やされると血管が収縮して血液の流れが抑えられます。
また、毛細血管の中から外に血液が送られる働きが減少します。
その為、内出血や傷からの出血を軽減することができます。
神経
神経の働きが抑えられて、体の損傷による痛みを感じにくくなります。
筋肉
筋肉は、筋肉や関節に痛みが起こるとそれを守ろうとして力を入れて硬くなる性質がありますが。
冷やすことで痛みによる筋肉の強張りを抑える事にもつながります。
細胞の新陳代謝
細胞は損傷を受けた瞬間から傷ついてどんどん壊れていきます。
これは、細胞は傷ついた際、一旦細胞自身を解体して再度作り直そうとする仕組みがあるからです。
細胞は壊れると細胞内の物質が周囲に漏れてしまい、それが炎症の原因となってしまいます。
体を冷やすことでこれらの反応を抑えて、炎症の拡大を防ぐことができます。
温める
温める事は身近な所では日光浴や入浴などがあり、医療では赤外線、電気療法、超音波療法、ホットパック、パラフィン浴、など様々な形で行われています。
血管
血管を温めると血管が拡張して血液の流れが良くなります。
それによって、筋肉や内臓から老廃物や炎症物質が流れて、新鮮な血液が流れ込むようになります。
神経
痛みを感じる神経は、冷える事で痛みを敏感に感じる様になります。
神経を温める事で、冷えからくる刺激が減り、痛みを緩和することができます。
筋肉
筋肉の伸び縮みは筋繊維内でおこる化学反応によって行われます。
暖かい状態ではこの化学反応が効率よく行われるため、筋肉の動きが良くなります。
スポーツ選手がアップをするのはこのためですね。
細胞の新陳代謝
体内の新陳代謝は体温に近い温度で効率よく働くようになっています。
体を温める事で代謝能力が十分に発揮されて傷の再生が早くなります。
これらの現象が体内で起こっているんですね。
これらを踏まえて温めた方がいいのか、冷やした方がいいのか、見ていきましょう
冷やした方が良いケース
痛み始めた、いわゆる急性期には冷やすと良いでしょう。
例えば…
重いものを中腰の姿勢で持ち上げようとしたら、突然、腰が痛み始めて動けなくなった。
テニスをしていたら肘が痛くなった。
野球で投球練習をしていたら肩が痛くなった。
階段を降りる際に足首をひねった。
などなど…。
これらの症状が起こったら、痛みの出た部位を早急に冷やしてあげるのがおススメです。
その他、炎症の五徴候の内、三つ以上が見られたら冷やした方が良いでしょう。
※炎症の五徴候…発赤、発熱、腫脹、疼痛、機能障害(動かすと痛い)
冷やすことで、内出血や炎症が抑えられて、回復の時期が早まります。
痛覚を感じる神経の働きが鈍くなるので痛みが緩和されます。
氷嚢やアイスパックなどで10分以上冷やして、体表温度を下げてあげるとよいでしょう。
温めた方が良いケース
ケガの亜急性期や慢性期に移行した症状や神経痛、慢性的な筋肉のコリやハリ、冷えなどは温めた方が良いでしょう。
例えば…
首や肩のコリ感。
腰から足にかけての坐骨神経痛の痛みがある。
怪我してから3~4日経って、痛みが少し落ち着いてきて、軽くなら動かせるようになってきた。
足先が慢性的に冷えている、むくみやすい。
などなど…。
ケガをすると、細胞が傷つき内出血が起こります。この時点では冷やす方が良いでしょう。
しかし、いつまでも冷やし続けていると細胞の再生速度が上がりません。
3~4日過ぎたあたりで出血は止まります。
このあたりから代謝を上げるために温めた方が良いでしょう。
血行が悪くなっておこる、筋肉が硬くなるコリやハリ、手足の冷え・むくみは温めて血管を拡張させて血液を流すと良いでしょう。
いかがでしょうか。
長くなってしまいましたが、
「痛めた時は冷やすのと温めるのとどちらが良いか」
ということですが、
ざっくり話してしまいますと
痛めた直後は冷やした方が良い、
3~4日経って痛みが少し引いてきたら温めた方が良い、
という事になります。
体が痛い時には対処法の参考にして下さい。
当院ではこういった痛めてしまった症状の治療を行っております。
急に傷めてしまった捻挫や打撲、腰痛などは早目の治療が効果的です。
アイシング処置した後、早目にご来院下さい。